腎疾患と肝疾患

腎疾患と肝疾患

精神疾患ほどは多くないのですが、
慢性腎不全や肝硬変の方の依頼も
たまにあります。
潜在的に多くいらっしゃると思う
のですが もうすでに等級の程度に
あるのに 気づいていないケースも
多そうです。

たとえば、人工透析をされている方は
原則2級です。
また、アルコール性肝硬変の場合、
検査日より180日間アルコールを
摂取していないことが条件で
請求できます。
腎疾患も肝疾患も初診が古い場合が
多いのでご自身で進めようとして
なかなか見つからず諦めてしまった
方も いらっしゃるのかもしれませんね。
また、複数の病気にかかっている方も
多いです。

ちなみに診断書は同じものを使いますが、
記入箇所が異なります。

腎疾患の障害認定基準

1 認定基準 腎疾患による障害については、
次のとおりである。

1 級 身体の機能の障害又は長期にわたる
安静を必要とする病状 が前各号と同程度
以上と認められる状態であって、日常生
活の用を弁ずることを不能ならしめる程度
のもの

2 級 身体の機能の障害又は長期にわたる
安静を必要とする病状 が前各号と同程度以上
と認められる状態であって、日常生活が
著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい
制限を 加えることを必要とする程度のもの

 3 級 身体の機能に、労働が制限を受け
るか、又は労働に制限を 加えることを
必要とする程度の障害を有するもの

腎疾患による障害の程度は、自覚症状、
他覚所見、検査成績、一般状態、治療
及び病状の経過、人工透析療法の実施
状況、具体的な日常生活状況等により、
総合的に認定するものとし、当該疾病
の認定の時期以後少なくとも1年以上
の療養を必要とするもので あって、
長期にわたる安静を必要とする病状が、
日常生活の用を弁ずることを不能なら
しめる程度のものを1級に、
日常生活が著しい制限を受けるか
又は日常生活に著しい制限を加える
ことを必要とする程度のものを
2級に、また、労働が制限を受けるか
又は労働に制限を加えることを必要
とする程度のものを3級に該当する
ものと認定する。

2 認定要領 (1) 腎疾患による
障害の認定の対象はそのほとんどが、
慢性腎不全に対する認定である。
慢性腎不全とは、慢性腎疾患によっ
て腎機能障害が持続的に徐々に
進行し、生体が 正常に維持でき
なくなった状態をいう。
すべての 腎疾患は、長期に経過
すれば腎不 全に至る可能性がある。
腎疾患で最も多い ものは、糖尿病性
腎症、慢性腎炎(ネフローゼ症候群を
含む。)、腎硬化症であるが、
他にも、多発性嚢胞腎、急速進行性
腎炎、腎盂腎炎、膠原病、アミロイド
ーシス等がある。

(2) 腎疾患の主要症状としては、
悪心、嘔吐、食欲不振、頭痛等の
自覚症状、浮腫、貧血、 アシドーシス
等の他覚所見がある。

(3) 検査としては、尿検査、血球算
定検査、血液生化学検査(血清尿素窒素、
血清ク レアチニン、血清電解質等)、
動脈血ガス分析、腎生検等がある。

(4) 病態別に検査項目及び異常値の一部を
示すと次のとおりである。
① 慢性腎不全
区 分/ 検 査 項 目 /単 位 /軽度異常 /中等度異常 /
高度異常
/内因性クレアチニン クリアランス/ ml/分 /
20 以上 30 未満 /10 以上 20 未満 /10 未満
/ 血清クレアチニン /mg/dl/ 3 以上 5 未満 /
5 以上 8 未満/ 8 以上
(注) eGFR(推算糸球体濾過量)が記載
されていれば、血清クレアチニンの異常
に替えて、eGFR(単位は ml/分/1.73 ㎡)が
10 以上 20 未満のときは軽度異常、 10 未満
のときは中等度異常と取り扱うことも可能とする。

② ネフローゼ症候群
区 分/ 検 査 項 目 /単 位 /異 常
尿蛋白量 (1日尿蛋白量又は 尿蛋白/
尿クレアチニ ン比)
g/日 又は g/gCr
3.5 以上を持続する
血清アルブミン (BCG法)
g/dl
3.0 以下
血清総蛋白 g/dl 6.0 以下

(5) 腎疾患による障害の程度を
一般状態区分表で示すと次のとおりである。
区 分/ 一 般 状 態
/無症状で社会活動ができ、制限を受ける
ことなく、発病前と同等にふる まえるもの
/軽度の症状があり、肉体労働は制限を
受けるが、歩行、軽労働や座業は できるもの
例えば、軽い家事、事務など
/ 歩行や身のまわりのことはでき
るが、時に少し介助が必要なことも
あり、軽労働はできないが、日中の50%
以上は起居しているもの
/ 身のまわりのある程度のことはできるが、
しばしば介助が必要で、日中 の50%以上は
就床しており、自力では屋外への外出等が
ほぼ不可能とな ったもの
/身のまわりのこともできず、
常に介助を必要とし、終日就床を
強いられ、活動の範囲がおおむね
ベッド周辺に限られるもの

腎疾患続き

(6) 各等級に相当すると認められるものを
一部例示すると次のとおりである。

障害の程度 1 級
前記(4)①の検査成績が高度異常を1つ以上
示すもので、かつ、一般 状態区分表の
オに該当するもの

2 級 1 前記(4)①の検査成績が中等度
又は高度の異常を1つ以上示すも ので、
かつ、一般状態区分表のエ又はウに
該当するもの
2 人工透析療法施行中のもの

3 級 1 前記(4)①の検査成績が軽度、
中等度又は高度の異常を1つ以上
示すもので、かつ、一般状態区分
表のウ又はイに該当するもの
2 前記(4)②の検査成績のうちアが
異常を示し、かつ、イ又はウのい
ずれかが異常を示すもので、かつ、
一般状態区分表のウ又はイに該当するもの

(7) 人工透析療法施行中のものに
ついては、原則として次により取り扱う。
人工透析療法施行中のものは2級と認定する。
なお、主要症状、人工透析療法施行中の検査
成績、長期透析による合併症の有無とその程度、
具体的な日常生活状況等によっては、
さらに上位等級に認定する。
障害の程度を認定する時期は、
人工透析療法を初めて受けた日から起算して
3月を経過した日(初診日から起算して
1年6月を超える場合を除く。)とする。

(8) 検査成績は、その性質上変動しやすい
ものであるので、腎疾患の経過中において最
も適切に病状をあらわしていると思われる
検査成績に基づいて認定を行うものとする。

(9) 糸球体腎炎(ネフローゼ症候群を含む。)、
腎硬化症、多発性嚢胞腎、腎盂腎炎に
罹患し、その後慢性腎不全を生じたものは、
両者の期間が長いものであっても、相当
因果関係があるものと認められる。

(10) 腎疾患は、その原因疾患が多岐に
わたり、それによって生じる臨床所見、
検査所見も、また様々なので、前記(4)の
検査成績によるほか、
合併症の有無とその程度、他の
一般検 査及び特殊検査の検査成績、
治療及び病状の経過等も参考とし、
認定時の具体的な日常 生活状況等を把握
して総合的に認定する。

(11) 腎臓移植の取扱い ア 腎臓移植を
受けたものに係る障害認定に当たっては、
術後の症状、治療経過、検査 成績及び
予後等を十分に考慮して総合的に認定
する。
イ 障害年金を支給されている者が
腎臓移植を受けた場合は、臓器が生着し、
安定的に 機能するまでの間を考慮して
術後1年間は従前の等級とする。

肝疾患の障害認定基準

1 認定基準 肝疾患による障害については、
次のとおりである。
障害の程度 1 級
身体の機能の障害又は長期にわたる
安静を必要とする病状 が前各号と
同程度以上と認められる状態であって、
日常生活の用を弁ずることを不能
ならしめる程度のもの

2 級 身体の機能の障害又は長期に
わたる安静を必要とする病状が前各号と
同程度以上と認められる状態であって、
日常生 活が著しい制限を受けるか、
又は日常生活に著しい制限を 加える
ことを必要とする程度のもの

3 級 身体の機能に、労働が制限を
受けるか、又は労働に制限を
加えることを必要と
する程度の障害を有するもの

肝疾患による障害の程度は、自覚症状、
他覚所見、検査成績、一般状態、治療及び
病状の経過、具体的な日常生活状況等に
より、総合的に認定するものとし、当該
疾病の認 定の時期以後少なくとも1年
以上の療養を必要とするものであって、
長期にわたる安静 を必要とする病状が、
日常生活の用を弁ずることを不能なら
しめる程度のものを1級に、
日常生活が著しい制限を受けるか又は
日常生活に著しい制限を加えることを
必要とする 程度のものを2級に、
また、労働が制限を受けるか又は労働に
制限を加えることを必要 とする程度の
ものを3級に該当するものと認定する。

2 認定要領 (1) 肝疾患による障害の
認定の対象は、慢性かつびまん性の
肝疾患の結果生じた肝硬変症及びそれに
付随する病態(食道・胃などの静脈瘤、
特発性細菌性腹膜炎、肝がんを 含む。)
である。
肝硬変では、一般に肝は萎縮し肝全体が
高度の線維化のため硬化してくる。
肝硬変で最も多いものは、B型肝炎
ウイルスあるいはC型肝炎ウイルスに
よるウイルス性肝硬変であり、
その他自己免疫性肝炎や非アルコール性
脂肪肝炎による肝硬変、 アルコール性
肝硬変、胆汁うっ滞型肝硬変、代謝性
肝硬変(ウィルソン病、ヘモクロマ
トーシス)等がある。

(2) 肝疾患の主要症状としては、
易疲労感、全身倦怠感、腹部膨満感、
発熱、食欲不振、悪心、嘔吐、
皮膚そう痒感、吐血、下血、有痛性
筋痙攣等の自覚症状、肝萎縮、脾腫大、
浮腫、腹水、黄疸、腹壁静脈怒張、食道・
胃静脈瘤、肝性脳症、出血傾向等の他覚
所見がある。

(3) 検査としては、まず、血球算定検査、
血液生化学検査が行われるが、さらに、
肝炎 ウイルス検査、血液凝固系検査、
免疫学的検査、超音波検査、CT・MR
I検査、腹 腔鏡検査、肝生検、上部消化
管内視鏡検査、肝血管造影等が行われる。

(4) 肝疾患での重症度判定の検査項目
及び臨床所見並びに異常値の一部を示すと
次のとおりである。
検査項目/臨床所見 /基準値 /中等度の異常/ 高度異常
血清総ビリルビン (mg/dℓ)0.3~1.2
2.0 以上 3.0 以下
3.0 超
血清アルブミン (g/d ℓ) (BCG 法)
4.2~5.1
3.0 以上 3.5 以下
3.0 未満
血小板数 (万/μ ℓ)
13~35
5 以上 10 未満
5 未満
プロトロンビン 時間(PT)(%)
70 超~130
40 以上 70 以下
40 未満
腹 水
―/ 腹水あり /難治性腹水あり
脳 症(表1) ― Ⅰ度 Ⅱ度以上

表1 昏睡度分類

昏睡度 /精 神 症 状/ 参 考 事 項
睡眠-覚醒リズムに逆転。 多幸気分
ときに抑うつ状態。 だらしなく、
気にとめない態度。 /あとで振り返って
みて判定で きる。

指南力(時、場所)障害、 物を
とり違える(confusion)
異常行動 (例:お金をまく、
化粧品をゴミ箱に捨てるなど)
ときに傾眠状態(普通のよびかけで
開眼し 会話が出来る)
無礼な言動があったりするが、
他人の 指示には従う態度を見せる。
/興奮状態がない。 尿便失禁がない。
羽ばたき振戦あり。

しばしば興奮状態またはせん妄
状態を伴 い、反抗的態度をみせる。
嗜眠状態(ほとんど眠っている)。
外的刺激で開眼しうるが、他人の指示
には 従わない、または従えない
(簡単な命令に は応じえる)。
/羽ばたき振戦あり。
( 患 者 の 協 力 が え ら れ る 場合)
指南力は高度に障害。

昏眠(完全な意識の消失)。
痛み刺激に反応する。/ 刺激に対して、
払いのける動 作、顔をしかめるなどが
みら れる。

深昏睡
痛み刺激にもまったく反応しない。

肝疾患認定基準続き

(5) 肝疾患による障害の程度を
一般状態区分表で示すと次のとおり
である。
 区 分/ 一 般 状 態
無症状で社会活動ができ、
制限を受けることなく、発病前と
同等にふる まえるもの
軽度の症状があり、肉体労働は
制限を受けるが、歩行、軽労働や
座業は できるもの
例えば、軽い家事、事務など
歩行や身のまわりのことは
できるが、時に少し介助が必要な
こともあり、 軽労働はできないが、
日中の50%以上は起居しているもの
身のまわりのある程度のことは
できるが、しばしば介助が必要で、
日中 の50%以上は就床しており、
自力では屋外への外出等がほぼ
不可能とな ったもの
身のまわりのこともできず、
常に介助を必要とし、終日就床を
強いられ、 活動の範囲がおおむね
ベッド周辺に限られるもの

(6) 各等級に相当すると認められる
ものを一部例示すると次のとおりである。
なお、障害の程度の判定に当たっては、
前記(4)の検査成績及び臨床所見による
ほか、 他覚所見、他の一般検査及び特殊
検査の検査成績、治療及び病状の経過等
も参考とし、 認定時の具体的な日常
生活状況等を把握して、総合的に認定する。

(7) 検査成績は、その性質上変動しや
すいので、肝疾患の経過中において
最も適切に病状 をあらわしていると
思われる検査成績に基づいて認定を
行うものとする。

(8) 肝硬変は、その発症原因によって、
病状、進行状況を異にするので、各疾患
固有の病 態に合わせて認定する。
アルコール性肝硬変については、
継続して必要な治療を行っていること
及び検査日より前に 180 日以上アル
コールを摂取していないことについて、
確 認のできた者に限り、
認定を行うものとする。

(9) 慢性肝炎は、原則として認定の
対象としないが、(6)に掲げる障害の
状態に相当するも のは認定の対象とする。

(10) 食道・胃などの静脈瘤について
は、吐血・下血の既往、治療歴の有無
及びその頻度、 治療効果を参考とし、
(4)に掲げる検査項目及び臨床所見の
異常に加えて、総合的に認定 する。
特発性細菌性腹膜炎についても、
同様とする。

(11) 肝がんについては、(4)に掲げる
検査項目及び臨床所見の異常に加えて、
肝がんによる 障害を考慮し、本節及び
「悪性新生物による障害」の認定要領
により認定す る。ただし、(4)に掲げる
検査項目及び臨床所見の異常がない
場合は、第16節の認定要 領により
認定する。

(12) 肝臓移植の取扱い
肝臓移植を受けたものに係る障害認定に
当たっては、術後の症状、治療経過、検査
成績及び予後等を十分に考慮して総合的に
認定する。
障害年金を支給されている者が肝臓移
植を受けた場合は、臓器が生着し、
安定的に 機能するまでの間を考慮して
術後1年間は従前の等級とする。

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