大動脈解離などの心疾患

心疾患について

大動脈解離などの心疾患
心疾患の障害年金認定基準は各種疾患ごとに
細かく記載されています。

今までよくご相談を受けたケースで
ご説明します。

厚生年金加入中にそれまで健康診断で
指摘を受けたこともなく
通院もしていなかった。
突然発症し、病院に運ばれ
大動脈解離と診断され(初診日)
手術を行い人工血管を挿入した場合、
その日が障害認定日となり、
かつ症状が
肉体労働などの制限を受ける場合
3級と認定されます。

なお人工弁には
ステンドクラフトも含みます。

このようなケースではすぐ請求できますが、
傷病手当金との調整も考慮します。
のちのち悪化することを考え
心疾患はその時点で認定日請求しても

いいのではないかと思われます。

よく心配されるのは
そういえば父親が心不全で
亡くなったので先天性のものと
思われるのではないかと危惧される
ことですが、

今まで全く発作や胸痛など症状がなく
心疾患で通院したこともなく
学生時代は体育の授業を休むことも
なかった、
社会人としてこれまで特に何もなく

働かれていた場合、厚生年金加入中で
あれば厚生年金が初診日と

認定されるようです。

遡及請求と認定日の勘違い

★遡及請求
心疾患で人工弁や人工血管を挿入した
方は
その時にさかのぼって
認定日できるケースが
多いです。

★1年6か月
よく誤解されている場合がありますが
前から心臓で患っていて通院しており
1年6か月より後に人工弁を
挿入し障害年金を請求しようとされる方は
その時が認定日ではなく
すでに1年6カ月が過ぎておりますので
1年6か月で認定日請求可能か
だんだん悪化して
今請求したい、という話であれば
事後重症の請求ということになります。
やはりおひとりおひとりケースバイケースです。

認定基準

心疾患による障害

1 心疾患による障害については、次の
とおりである。 心疾患による障害の
程度は、呼吸困難、心悸亢進、
尿量減少、夜間多尿、チアノーゼ、
浮腫等の臨床症状、X線、心電図等の
検査成績、一般状態、治療及び病状の
経過等により、総合的に認定するもの
とし、当該疾病の認定の時期以後
少なくとも 1 年以上の療養を必要とする
ものであって、長期にわたる安静を必要
とする病状が、日常生活の用を弁ずるこ
とを不能ならしめる程度のものを1 級に、
日常生活が著しい制限を受けるか又は
日常生活に著しい制限を加えることを
必要とする程度のものを 2 級に、また、
労働が 制限を受けるか又は労働に
制限を加えることを必要とする程度の
ものを 3 級に該当するものと認定する。

2 認定要領
(1) この節に述べる心疾患とは、
心臓だけではなく、血管を含む
循環器疾患を指すものである。
(ただし、血圧については、
「高血圧症による障害」
で述べる ので除く。)
心疾患による障害は、弁疾患、
心筋疾患、虚血性心疾患
(心筋梗塞、狭心症)、
難治性不整脈、大動脈疾患、
先天性心疾患に区分する。
(2) 心疾患の障害等級の認定は、
最終的には心臓機能が慢性的に
障害された慢性心不全の状態を
評価することである。この状態は
虚血性心疾患や弁疾患、心筋疾患
などのあらゆる心疾患の終末像
である。
慢性心不全とは、心臓のポンプ機能
の障害により、体の末梢組織への
血液供給が不十分となった状態を
意味し、一般的には左心室系の
機能障害が主体をなすが、右心室
系の障害も考慮に入れなければな
らない。
左心室系の障害により、動悸や息切れ、
肺うっ血による呼吸困難、咳・痰、
チアノーゼなどが、右心室系の障害
により、全身倦怠感や浮腫、尿量減少、
頚静脈怒張などの症状が出現する。
(3) 心疾患の主要症状としては、胸痛、
動悸、呼吸困難、失神等の自覚症状、
浮腫、チアノーゼ等の他覚所見がある。
臨床所見には、自覚症状(心不全に基
づく)と他覚所見があるが、後者は医師の
診察により得られた客観的症状なので
常に自覚症状と連動しているか否かに
留意する必要がある(以下、各心疾患
に同じ)。
重症度は、心電図、心エコー図・カテー
テル検査、動脈血ガス分析値も参考とする。

(4) 検査成績としては、血液検査
(BNP値)、心電図、心エコー図、
胸部X線、X線、CT、MRI等、
核医学検査、循環動態検査、
心カテーテル検査(心カテーテル法、
心血管造影法、冠動脈造影法等)
等がある。
(5) 肺血栓塞栓症、肺動脈性
肺高血圧症は、心疾患による障害と
して認定する。
(6) 心血管疾患が重複している
場合には、客観的所見に基づいた
日常生活能力等の程度を十分考慮して
総合的に認定する。

心疾患認定基準続き

(7) 心疾患の検査での異常検査
所見を一部示すと、次のとおり
である。

区 分 /異 常 検 査 所 見

A/安静時の心電図において、
0.2mV以上のSTの低下もしくは
0.5mV以上の深い陰性T波(aVR
誘導を除く。)の所見のあるもの
B/ 負荷心電図(6Mets 未満相当)
等で明らかな心筋虚血所見があるもの
C/胸部X線上で心胸郭係数 60%以上
又は明らかな肺静脈性うっ血所見や
間質性肺水腫のあるもの
D/心エコー図で中等度以上の左室肥大と
心拡大、弁膜症、収縮能の低下、拡張能
の制限、先天性異常のあるもの
E/心電図で、重症な頻脈性又は徐脈性
不整脈所見のあるもの
F/左室駆出率(EF)40%以下のもの
G/BNP(脳性ナトリウム利尿ペプ
チド)が 200pg/ml 相当を超えるもの
H/重症冠動脈狭窄病変で左主幹部に
50%以上の狭窄、あるいは、3本の
主要冠動脈に 75%以上の狭窄を認め
るもの
I /心電図で陳旧性心筋梗塞所見が
あり、かつ、今日まで狭心症状を
有するもの

(注 1) 原則として、異常検査所見が
あるもの全てについて、それに該当
する心電図等を提出(添付)させること。
(注 2) 「F」についての補足心不全
の原因には、収縮機能不全と拡張機能
不全とがある。近年、心不全症例の
約40%はEF値が保持されており、
このような例での心不全は左室拡張
不全機能障害によるものとされている。
しかしながら、現時点において拡張
機能不全を簡便に判断する検査法は
確立されていない。左室拡張末期圧
基準値(5-12mmHg)
をかなり超える場合、パルスドプラ法に
よる左室流入血流速度波形を用いる
方法が一般的である。
この血流速度波形は急速流入期
血流速度波形(E波)と心房収縮期血流速度波形
(A波)からなり、E/A比が 1.5 以上の
場合は、重度の拡張機能障害といえる。
(注 3) 「G」についての補足
心不全の進行に伴い、神経体液性因子が血液中に
増加することが確認され、心不全の
程度を評価する上で有用であることが知られ
ている。中でも、BNP値(心室で生合成され、
心不全により分泌が亢進)は、心不全の重症
度を評価する上でよく使用されるNYHA分
類の重症度と良好な相関性を持つことが
知られている。この値が常に 100 pg/ml
以上の場合は、NYHA心機能分類で
Ⅱ度以上と考えられ、200 pg/ml 以上では
心不全状態が進行していると判断される。
(注 4) 「H」についての補足
すでに冠動脈血行再建が完了している
場合を除く。

(8) 心疾患による障害の程度を一般状態
区分表で示すと次のとおりである。
一般状態区分表
区 分/ 一 般 状 態
ア/無症状で社会活動ができ、制限を
受けることなく、発病前と同等にふる
まえるもの
イ/軽度の症状があり、肉体労働は
制限を受けるが、歩行、軽労働や座業は
できるもの 例えば、軽い家事、事務など
ウ/歩行や身のまわりのことはできるが、
時に少し介助が必要なこともあり、
軽労働はできないが、日中の 50%以
上は起居しているもの
エ/身のまわりのある程度のことは
できるが、しばしば介助が必要で、日中
の 50%以上は就床しており、自力では
屋外への外出等がほぼ不可能とな
ったもの
オ/身のまわりのこともできず、
常に介助を必要とし、終日就床を
強いられ、活動の範囲がおおむね
ベッド周辺に限られるもの

(参考) 上記区分を身体活動能力に
あてはめると概ね次のとおりとなる。
区 分 /身 体 活 動 能 力
ア 6Mets 以上
イ 4Mets 以上6Mets 未満
ウ 3Mets 以上4Mets 未満
エ 2Mets 以上3Mets 未満
オ 2Mets 未満 - 67 -
(注) Mets とは、代謝当量をいい、
安静時の酸素摂取量(3.5ml/
kg 体重/分)を1Mets
として活動時の酸素摂取量が
安静時の何倍かを示すものである。

弁疾患

障害の程度 1級 
病状(障害)が重篤で安静時におい
ても、心不全の症状(NYHA 心機能
分類 クラスⅣ)を有し、かつ、
一般状態区分表のオに該当するもの

障害の程度 2 級
1 人工弁を装着術後、6 ヶ月以上経過
しているが、なお病状をあわらす臨床
所見が 5 つ以上、かつ、異常検査
所見が 1 つ以上あり、かつ、
一般状態区分 表のウ又はエに
該当するもの
2 異常検査所見のA、B、C、
D、E、Gのうち 2 つ以上の所見、
かつ、病 状をあらわす臨床所見が
5 つ以上あり、かつ、一般状態区
分表のウ又はエに 該当するもの

障害の程度 3 級
1 人工弁を装着したもの
2 異常検査所見のA、B、C、
D、E、Gのうち 1 つ以上の
所見、かつ、病 状をあらわす
臨床所見が 2 つ以上あり、
かつ、一般状態区分表のイ又は
ウに 該当するもの
(注 1) 複数の人工弁置換術を受
けている者にあっても、原則
3 級相当とする。
(注 2) 抗凝固薬使用による出血
傾向については、重度のものを除き
認定の対象とはしない。

心筋疾患

障害の程度  1 級
病状(障害)が重篤で安静時に
おいても、心不全の症状(NYHA
心機能分類 クラスⅣ)を有し、
かつ、一般状態区分表のオに
該当するもの

障害の程度 2 級
1 異常検査所見のFに加えて、
病状をあらわす臨床所見が 5 つ
以上あり、か つ、一般状態区分
表のウ又はエに該当するもの
2 異常検査所見のA、B、C、
D、E、Gのうち 2 つ以上の
所見及び心不全 の病状をあら
わす臨床所見が 5 つ以上あり、
かつ、一般状態区分表のウ
又は エに該当するもの

障害の程度 3 級
1 EF値が 50%以下を示し、
病状をあらわす臨床所見が
2 つ以上あり、かつ、
一般状態区分表のイ又は
ウに該当するもの
2 異常検査所見のA、B、
C、D、E、Gのうち
1つ以上の所見及び心不全の
病状をあらわす臨床所見が
1 つ以上あり、かつ、
一般状態区分表のイ又は
ウに該当するもの
(注) 肥大型心筋症は、
心室の収縮は良好に保た
れるが、心筋肥大による
心室拡張機能障害や
左室流出路狭窄に伴う
左室流出路圧較差などが
病態の基本となっている。
したがってEF値が障害
認定にあたり、参考となら
ないことが多く、臨床所見や
心電図所見、胸部X線検査、
心臓エコー検査所見なども
参考として総合的に障害等
級を判断する。

虚血性心疾患(心筋梗塞、狭心症)

障害の程度 1 級
病状(障害)が重篤で安静時に
おいても、常時心不全あるいは
狭心症状を有し、かつ、
一般状態区分表のオに該当
するもの

障害の程度 2 級
異常検査所見が 2 つ以上、
かつ、軽労作で心不全あるいは
狭心症などの症状 をあらわし、
かつ、一般状態区分表のウ又は
エに該当するもの

障害の程度 3 級
異常検査所見が 1 つ以上、
かつ、心不全あるいは狭心症
などの症状が 1 つ以上ある
もので、かつ、一般状態区分表の
イ又はウに該当するもの
(注) 冠動脈疾患とは、主要冠
動脈に少なくとも1ヶ所の有意
狭窄をもつ。あるいは、冠攣縮が
証明されたものを言い、冠動脈
造影が施行されていなくとも
心電図、心エコー図、核医学検
査等で明らかに冠動脈疾患と
考えられるものも含む。

難治性不整脈

障害の程度  1 級
病状(障害)が重篤で安静時に
おいても、常時心不全の症状
(NYHA 心機能 分類クラスⅣ)
を有し、かつ、一般状態区分表の
オに該当するもの

障害の程度 2 級
1 異常検査所見のEがあり、かつ、
一般状態区分表のウ又はエに
該当するもの
2 異常検査所見のA、B、C、
D、F、Gのうち2つ以上の所見
及び病状を あらわす臨床所見が
5 つ以上あり、かつ、一般状態
区分表のウ又はエに該当するもの

障害の程度 3 級
1 ペースメーカー、ICDを装着
したもの
2 異常検査所見のA、B、
C、D、F、Gのうち 1 つ以上の
所見及び病状をあらわす臨床所見が
1 つ以上あり、かつ、一般状態区分
表のイ又はウに該当するもの
(注 1) 難治性不整脈とは、放置
すると心不全や突然死を引き起こす
危険性の高い不整脈で、適切な治療
を受けているにも拘わらず、
それが改善しないものを言う。
(注 2) 心房細動は、一般に加齢
とともに漸増する不整脈であり、
それのみでは認定の対象とはな
らないが、心不全を合併したり、
ペースメーカーの装着を要する
場合には認定の対象となる。

大動脈疾患

障害の程度  3 級
1 胸部大動脈解離(Stanford
分類A型・B型)や胸部大動脈瘤
により、人工 血管を挿入し、
かつ、一般状態区分表のイ又は
ウに該当するもの
2 胸部大動脈解離や胸部大動脈瘤に、
難治性の高血圧を合併したもの
(注 1) Stanford 分類A型: 上行
大動脈に解離がある。 Stanford
分類B型: 上行大動脈まで解離が
及んでいないもの。
(注 2) 大動脈瘤とは、大動脈の
一部がのう状又は紡錘状に拡張した
状態で、先天性大動脈疾患や動脈
硬化(アテローム硬化)、膠原病などが
原因となる。これのみでは認定の対象
とはならないが、原疾患の活動性や
手術による合併症が見られる場合には、
総合的に判 断する。
(注 3) 胸部大動脈瘤には、胸腹部
大動脈瘤も含まれる。
(注 4) 難治性高血圧とは、塩分制限
などの生活習慣の修正を行った上で、
適切な薬剤3薬以 上の降圧薬を適切な
用量で継続投与しても、なお、収縮期
血圧が 140 mmHg 以上又は 拡張期
血圧が 90mmHg 以上のもの。
(注 5) 大動脈疾患では、特殊な例を
除いて心不全を呈することはなく、
また最近の医学の進歩はあるが、
完全治癒を望める疾患ではない。
従って、一般的には 1・2 級には
該当し ないが、本傷病に関連した
合併症(周辺臓器への圧迫症状など)
の程度や手術の後遺症によっては、
さらに上位等級に認定する。
・ 大動脈瘤の定義:嚢状のものは
大きさを問わず、紡錘状のものは、
正常時(2.5~3cm) の 1.5 倍以上の
ものをいう。
(2 倍以上は手術が必要。)
・ 人工血管にはステントグラフトも
含まれる。

先天性心疾患

障害の程度 1 級
病状(障害)が重篤で安静時に
おいても、常時心不全の症状
(NYHA 心機能 分類クラスⅣ)
を有し、かつ、一般状態区分表の
オに該当するもの

障害の程度 2 級
1 異常検査所見が 2 つ以上
及び病状をあらわす臨床所見が
5つ以上あり、か つ、一般
状態区分表のウ又はエに該当
するもの
2 Eisenmenger 化(手術不可
能な逆流状況が発生)を起こ
しているもので、 かつ、
一般状態区分表のウ又はエに
該当するもの

障害の程度 3 級
1 異常検査所見のC、D、Eのうち
1 つ以上の所見及び病状をあらわ
す臨床 所見が 1 つ以上あり、
かつ、一般状態区分表のイ又は
ウに該当するもの
2 肺体血流比 1.5 以上の左右
短絡、平均肺動脈収縮期圧
50mmHg 以上のもので、
かつ、一般状態区分表の
イ又はウに該当するもの

重症心不全

心臓移植や人工心臓等を装着した場合の
障害等級は、次のとおりとする。
ただし、術後は次の障害等級に認定するが、
1~2年程度経過観察したうえで症状が
安定しているときは、 臨床症状、検査成績、
一般状態区分表を勘案し、障害等級を
再認定する。
・ 心臓移植 1級 ・ 人工心臓 1級
・ CRT(心臓再同期医療機器)、
CRT-D(除細動器機能付き心臓再同期
医療機器) 2級

(10) 心臓ペースメーカー、又はICD
(植込み型除細動器)、又は人工弁を装着
した場合の障害の程度を認定すべき日は、
それらを装着した日(初診日から起算して
1 年 6 月を超える 場合を除く。)とする。
(11) 各疾患によって、用いられる検査
が異なっており、また、特殊検査も多い
ため、診断書上に適切に症状をあらわ
していると思われる検査成績が記載され
ているときは、その検査成績も参考とし、
認定時の具体的な日常生活状況等を
把握して、総合的に認定する。

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